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ひもとく

表具の種類

掛軸(かけじく)

発祥時期は不明。日本へは飛鳥時代以降に伝来し、仏画・墨跡・日本画の表具に多く用いられてきました。
主な形式は次の9種類で、どのような作品にどの形式を用いるかは、伝統的にほぼ定まっています。

※掛軸の主な形式

表補表装(ひょうほひょうそう)
(真の形式)…「仏(ぶつ)表具」とも呼ばれる。
仏画・曼荼羅・頂相(禅僧の肖像画)・神像などに用いる。
表補表装

幢補表装(どうほひょうそう)
(行の形式)…最も一般的な形式。「大和表具」とも呼ばれる。
歌切・懐紙・色紙・書画などに用いる。
幢補表装

輪補表装(りんぽひょうそう)
(草の形式)…「茶掛表装」「茶掛」とも呼ばれる。
禅僧の墨跡・茶人の書画・画賛などに用いる。
輪補表装

袋表装
いわゆる文人表具。南画・文人画などに。
袋表具

巻物(まきもの)

起源は中国の南北朝時代(5〜6C)の画巻。
飛鳥時代に経巻として伝わり、材料や技法に日本特有の工夫が凝らされ『平家納経』のような傑作が誕生しました。
平安時代には絵画の巻物「絵巻」が発達、『源氏物語絵巻』はその代表です。
巻物(まきもの)

屏風(びょうぶ)

発祥は不明。原型は中国から渡来したとされ、既に奈良時代に宮中で使用。正倉院の『鳥毛立女屏風』が現存最古の例。
中世に、日本で紙蝶番が発明されると大画面が構成されて絢爛豪華な金碧画の名作が生み出され、重要な輸出品となりました。
屏風(びょうぶ)

額装(がくそう)

江戸時代、室内に飾られた「紙額(かみがく)」が始まり。明治時代の初めにわが国特有の「左右天地不均整」の額装様式が確立し、西洋の額(洋額)と区別して「和額」と呼ばれました。戦後は洋額の影響も受けたものも現れ、題材の新旧を問わず日本画の表具方法として活用されています。

手鑑(てかがみ)

経巻や歌書・消息などの断簡(切断された作品)を、鑑賞や鑑定のために厚手の台紙に一定の順序で貼り、「折帖(おりじょう)」(折本)のように仕立てたたもの。「古筆(こひつ)手鑑」ともいい、裂地(きれじ)を貼ったものは「裂手鑑」と呼ばれます。

画帖(がじょう)

小さな別々の絵を貼りつないで帖(折本)形式にしたもの。中国では「画冊」と呼ばれ手鑑より先に発生したとされています。

衝立(ついたて)

衝立障子のこと。中国の屏風から変化した屏障具(へいしょうぐ)の一つで、1枚の襖障子や板障子の下部に台を付けて、立てたり移動したりできるようにしたもの。平安時代から宮中で使用され、近世以降は庶民階級の家具として利用されるようになりました。装飾を兼ねた目隠しや簡単な間仕切として用いられます。

襖(ふすま)

日本特有の間仕切り調度。木で骨を組み両面から紙で下張りをして、表面に布や紙を張ったもの。多くは木で外周に椽を打ち、引き違い戸の形式をとります。平安時代の襖(衾)障子」が起源とされ、平安中期には建具として成立。武家の住宅様式「書院造」とともに発達し、屏風や衝立と同じく描画スペースとなって建物内部を装飾しました。とりわけ桃山時代の金碧障壁画が有名。江戸時代には文様紙を張った「唐紙(からかみ)障子」が茶室や住宅に広まり、庶民の家屋にも普及。現在も和風空間に不可欠の調度として活用されています。